民事信託・家族信託に関する最新情報
受託者が行わなければいけないことを教えて下さい。
2018/11/25
受託者には様々な義務があります。(1)信託事務遂行義務
受託者は信託の本旨に従って、信託事務を処理することが求められています。
(2)善管注意義務
受託者は善良な管理者の注意をもって、信託事務を遂行しなければなりません。「善良な管理者の注意」とは、簡単にいうと、自分のために行う場合以上の高い注意義務のことです。
この義務は信託の内容の中で、軽くしたり重くしたりすることができます。
(3)忠実義務
受託者は、受益者のために忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければなりません。(信託法30条)よって、受託者には利益相反行為や競合行為をすることはできません。
(4)分別管理義務
受託者は、信託財産に属する財産と、受託者の固有の財産とを、分別して管理しなければなりません。
(5)公平義務
もし、受益者が複数人いる場合、受託者は受益者のために公平にその職務を行わなければなりません。
(6)信託事務処理者の監督義務
受託者は、信託事務の一部を第三者に委託した場合、その第三者を信託の目的の達成のために必要かつ適切に監督を行う必要があります。
(7)信託事務の処理の状況についての報告義務
受託者は委託者または受益者からの求めがあった場合には、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産等の状況について報告しなければなりません。(信託法36条)
(8)帳簿作成義務
受託者は、信託期間中に帳簿を作成し、信託事務の処理に関する書類を作成または取得する必要があります。また、受託者は毎年1回、財産状況の資料を作成し、受益者に対して財産の管理状況を報告し、またその資料を保存する必要があります。