民事信託・家族信託に関する最新情報
①家族信託の重要性
2023/06/19
近年、家族信託が注目をされてきました。家族信託とは、自分で財産を管理できなくなった時のために、自分の財産の管理をする権限を家族に与えておくことをいいます。
では、この家族信託がなぜここまで注目されてきたかと言うと高齢化と認知症の問題があります。
厚生労働省の「令和2年介護保険事業状況報告」によると、要介護認定者数は、65歳から74歳で全体の1割強ですが、75歳以上になると9割弱と急増しています。年齢が上がるにつれて認知症になる確率も急激に上昇するのです。
この認知症が悪化すると、自分の意思で引き落としもできず、銀行の口座などは凍結されてしまい、子どもでも親のお金を下ろせなくなります。
そうすると子どもは、親の介護にも金銭的な負担も強いられることにつながります。
認知症対策の一つとしては、これまで任意後見制度の利用なども考えられてきました。
この任意後見制度は資産を持つ人が元気なうちに、自己が判断能力を失ったときに財産を管理する後見人を予め選定をしておくという制度で、成年後見制度の一つです。
この任意後見制度の問題は、この制度が実際に機能するのは判断能力が低下した後になることです。
また任意後見人による財産管理は、裁判所の監督下のもとでの財産保全が求められるため、本人の希望通りに活用できない面もあるのです。
一方で、家族信託の場合、信託契約の時点で、受託者により定められた目的に従った資産の管理と運用がスタートしますので、資産の管理や運用状況を委託者本人が見届けられるというメリットがあります。
家族の高年齢化に伴う様々なトラブルに柔軟に対応でき、そして安心感を与えてくれる家族信託は、とても重要なことなのです。